憂杏に寄り添うナスル姫に、夕星は、にやりと笑う。
そして、不意に朱夏の衣の裾を少しだけめくった。
「なっ何してんのっ!!」
赤くなって、朱夏は素早く夕星の手をぴしゃりと叩いた。
その素早さに、何故か夕星は明るく笑う。
「いてて。ははっ、そうそう、その勢い。朱夏はさ、襲われたら身体が動かなくなるかもしれないって思ってるかもしれんが、昔から‘守るよう’教え込まれた人間相手じゃなかったら、きっと大丈夫だよ」
「守るように?」
この場ではナスル姫がいるので、具体的なことは言わないが、葵に襲われたときのことを言っているのだ。
あのとき、朱夏は武器を持ちながら、為す術もなかったが、それは幼い頃から‘守るよう’教え込まれた葵が相手だったからだというのだ。
「そうなの?」
自分のことなのに、よくわからない。
初めてのことだったし、何より自分のことを‘女’だと、あのとき初めて自覚したようなものだ。
「だと思うよ。ま、そういう目に遭うこと前提での結婚ってのも可哀相だし、そうならないために、コアトルの港町に居を構えるつもりなんだが」
「コアトルの港町かぁ。貿易の要所だな」
憂杏が呟く。
コアトルの港は、アルファルドに一番近い港だ。
アルファルドは周りを砂漠に囲まれているため、さらに遠くに行く場合でも、商人などは、一旦アルファルドに寄るのが普通だ。
アルファルドで水などを補充し、また旅立つ。
いろいろな商人が立ち寄るため、アルファルドの市は物資が豊富である。
そのほぼ全ての商人は、コアトルまでを海路で来、そこを経てアルファルドに入るのだ。
故に、コアトルの港も、重要な都市となっている。
そして、不意に朱夏の衣の裾を少しだけめくった。
「なっ何してんのっ!!」
赤くなって、朱夏は素早く夕星の手をぴしゃりと叩いた。
その素早さに、何故か夕星は明るく笑う。
「いてて。ははっ、そうそう、その勢い。朱夏はさ、襲われたら身体が動かなくなるかもしれないって思ってるかもしれんが、昔から‘守るよう’教え込まれた人間相手じゃなかったら、きっと大丈夫だよ」
「守るように?」
この場ではナスル姫がいるので、具体的なことは言わないが、葵に襲われたときのことを言っているのだ。
あのとき、朱夏は武器を持ちながら、為す術もなかったが、それは幼い頃から‘守るよう’教え込まれた葵が相手だったからだというのだ。
「そうなの?」
自分のことなのに、よくわからない。
初めてのことだったし、何より自分のことを‘女’だと、あのとき初めて自覚したようなものだ。
「だと思うよ。ま、そういう目に遭うこと前提での結婚ってのも可哀相だし、そうならないために、コアトルの港町に居を構えるつもりなんだが」
「コアトルの港町かぁ。貿易の要所だな」
憂杏が呟く。
コアトルの港は、アルファルドに一番近い港だ。
アルファルドは周りを砂漠に囲まれているため、さらに遠くに行く場合でも、商人などは、一旦アルファルドに寄るのが普通だ。
アルファルドで水などを補充し、また旅立つ。
いろいろな商人が立ち寄るため、アルファルドの市は物資が豊富である。
そのほぼ全ての商人は、コアトルまでを海路で来、そこを経てアルファルドに入るのだ。
故に、コアトルの港も、重要な都市となっている。


