楽園の炎

「あ、ああ・・・・・・。一応な」

思い切り後ろにのけ反りながら、憂杏が小さく頷く。
ナスル姫は、ぱっと笑顔になって、がばっと憂杏に抱きついた。

「きゃあっ! 良かったぁ!!」

不安定な体勢の上に、ナスル姫が飛びついてもびくともしないなんて、さすが憂杏、と妙に感心しながら、朱夏は嬉しそうにしているナスル姫を眺めた。
憂杏の報告に、朱夏も安心したが、ふと夕星を見ると、ナスル姫のように手放しでは喜んでいない。

「ユウ、何か気になるの?」

「うん・・・・・・。いや」

歯切れ悪く言い、ちらりとはしゃぐナスル姫を見る。

「果たして結婚までを、許したのかな?」

ぽつりと呟く。
小さな声だったので、はしゃいでいるナスル姫の耳には届いていないだろう。

そういえば、憂杏は『一応』と言った。
『仲を認める』ということが、必ずしも『結婚を認める』ということにはならない。

「ナスルを憂杏に、一時的に託すのを許しただけかもしれん」

「第二皇子から遠ざけるために?」

朱夏の言葉に、夕星は頷く。
確かに、一時的な避難所としても、憂杏は最適だ。