楽園の炎

「ね、兄上はどうだった? 大丈夫だったの?」

咳のしすぎで、若干涙目になっていた憂杏は、やっと少し笑った。

「初めは、多分物凄い驚かれたんだと思うよ。俺が部屋に入った瞬間、目を見開かれたからな。しばらく黙られるから、その間こっちが喋らないといけなくて、ちょっと困ったな」

「・・・・・・言葉も出なかったんだな」

くそ、やっぱり見たかった、と呟く夕星に、朱夏もそうね、とぶつぶつ呟く。

「しばらく話して、で、まぁ・・・・・・お姫さんのこととか、いろいろ聞かれて」

さすがの憂杏でも、照れるようだ。
いつものように、軽口が出ない。
がりがりと頭を掻きながら、ごにょごにょと言う。

「ね、それで、許してくれた?」

夕星や朱夏は、結果も知りたいが、皇太子との話の内容も知りたい。
だがナスル姫は、まず結果が気になるようだ。
憂杏に身体を寄せて、少し不安そうに言った。

「ああ。皇太子殿下は、許してくれたよ。なかなか面白いかただな。ユウの兄貴なだけあるぜ」

「そう似てないと思うがな」

軽く答える夕星の言葉を遮り、ナスル姫がずいっと憂杏に顔を近づけた。

「兄上は、許してくれたのね?」

いきなり頬が触れるほど顔を近づけられて、憂杏がのけ反る。
ナスル姫は、さらにずずいっと身を乗り出して、繰り返した。

「わたくしと憂杏のこと、お認めくださったのね?」