楽園の炎

嫌ではない。
が、何となく拒否してしまう。
上手く言えなくて、でも嫌がっているようには思われたくなくて、朱夏はしどろもどろになった。

「あ、あのね、あの、誤解しないで欲しいんだけど、あの、ユウに抱きしめられるのは、嫌じゃないのよ。むしろ、嬉しいっていうか・・・・・・。えっと、あの、あたしはユウが好きだし・・・・・・ああっあの、そうじゃなくて・・・・・・」

言えば言うほど、何を言っているのかわからない。
しかも、恥ずかしいことを口走っているような気もする。

無意識に衣の合わせを握りしめながら、朱夏は真っ赤になって言葉を紡いだ。
そんな朱夏を見つめていた夕星は、ふぅ、と息をつくと、朱夏の横に座り直した。

「そうだな。お前はちょっと・・・・・・傷があるんだったな。悪かったよ」

ぽつりと言われて、朱夏は一瞬きょとんとしたが、すぐにぶんぶんと首を振った。
葵のことを、引き摺っていると思ったのだろう。

「ち、違うのっ! そういうんじゃないよ。ユウなら大丈夫だもの! ユウじゃないと、嫌だものっ」

勢い込んで言いながら、また恥ずかしいことを言ってしまったと思い、朱夏は再び赤くなった。
話題を逸らすように、ちらりと上目遣いで夕星を見る。

「・・・・・・ユウだって、そうなんじゃないの? 女性恐怖症だったんでしょ?」

「あー・・・・・・。う~ん、そりゃあね。でも、そんな酷くはなかったよ。それなりの歳になれば、まぁ・・・・・・それなりの経験は・・・・・・」

おっと、というように、夕星は口をつぐんだ。
そして、誤魔化すように、がばっと朱夏を抱きしめる。
先程の甘やかなものではなく、じゃれ合うような、軽い感じだ。

「でも、自分から本気で欲しいと思ったのは、朱夏が初めてだよ」

そう言って、ちゅ、と軽く口付ける。