楽園の炎

扉を開けた兵士に続いて、朱夏の父が姿を現す。
その後ろから、アルファルド王が、一人の少女の手を取り、部屋に入ってきた。
大広間にいた人間皆が、頭を下げる。

「こちらは、ククルカン皇帝よりお預かりした、ナスル姫様である。姫のご希望により、大仰な歓迎の式典は、しないことになっておるが、大事なお客様だ。皆、失礼のないように」

アルファルド王の横で、小さな姫は、優雅にお辞儀をした。

「ククルカン皇帝が第二皇女、ナスルと申します」

おお、と、会場からため息が漏れる。
生まれながらの皇女らしく、身のこなし一つ一つが、気品に溢れている。
朱夏や葵と同じぐらいの、まだ少女の域を出ない外見なのに、随分しっかりしている雰囲気だ。

アルファルド王の視線を受けて、葵が姫の前に進み出た。

「ようこそ、おいでくださいました。アルファルド王が息子、葵王と申します」

跪き、姫の手を取って、軽く唇をつける。
姫はにこりと笑って、葵の挨拶を受け、後はナスル姫を囲んでの立食パーティーに戻った。