楽園の炎

朱夏の胸元に光る首飾りは、少し前に、葵が贈った物だ。

昔から、何かの記念日などには、お互いいろいろ贈り物をしてきたので、これも特に特別な贈り物ではない。
強いて言えば、朱夏の階級が上がった、お祝いといったところだ。

と、少なくとも朱夏は思っている。
さすがにこれほど素晴らしい物をもらったのは初めてなので、葵がこれを朱夏の首にかけたときは驚いたが。

「やだよ。いつもこんな格好じゃ、葵のこと、守れないじゃん。葵付きの武官のくせに、いざというときに動けないなんて、役立たず以外の何ものでもないわ」

つん、と澄まして言う朱夏に、葵が微妙な顔をする。

「それに、折角こんな良い物もらったのに、あたしがいつもつけてたら、あっという間に、傷だらけになっちゃう」

言いながら、大事そうに肩絹でこしこしとルビーを擦る朱夏に、葵は苦笑いをこぼした。
一体、いつになったらこの少女は、自分に守らせてくれるのだろうか。

「あ、そうだ。あたしね、新しい宝物、手に入れたの。あたしにぴったりなんだよ。今、憂杏に作ってもらってるから、できたら葵にも見せるね」

「え、憂杏に宝物、もらったの?」

どきん、と葵の胸がざわめく。
憂杏のことは、朱夏同様、葵も知っている。
朱夏と一緒に、昔はよく遊んでもらったものだ。

「違うよ。憂杏には、その宝物を、いつでも身につけられるように、作り変えてもらってるの。そうそう、その宝物ってね・・・・・・」

朱夏が、森でのことを葵に話そうとしたとき、不意に辺りがざわつき、皆の視線が、部屋の入り口に集まった。