楽園の炎

「一応僕も、残念でしたよ。ナスル姫は、お可愛らしいかたですし。でもやっぱり、愛情ではないかな・・・・・・」

葵が、少し考えながら言う。

「朱夏に対する想いは、愛情か?」

いきなりの問いに、前を歩いていた朱夏は、転びそうになった。
朱夏は思いっきり狼狽したが、問われた葵はそうでもないようだ。
相変わらず、思案げに口を開く。

「そうですね・・・・・・。いや、どうだろう。そう思ってましたが、何故か実際あなたと接していても、憎しみというものは湧いてきません。あなたのことを、話でしか聞いていなかったときは、処刑してやろうと思うほど憎かったのに。こうやって三人で行動することが、苦痛なわけでもない」

何故でしょうね、と、葵は朱夏を見つめる。
愛しい、とは思うのだ。
朱夏は葵のことを、『愛しいわけではない』と言ったが、葵は朱夏を、愛しいと思う。

だがそれは、どこまでも穏やかな気持ちで、朱夏が夕星に対して抱いているような、激しい気持ちではない。
この人がいなくなったら耐えられない、というような、強い気持ちではないのだ。

「家族・・・・・・かぁ・・・・・・」

ぼんやりと、葵が呟いた。

「朱夏は可愛いけど、やっぱり僕も、ほんとの意味で朱夏を女性として、見てなかったのかも」