楽園の炎

「確かに、この実力を出されていたらと思うと、ぞっとしますね」

冗談ぽく言い、葵は朱夏がもぞもぞと身体を退けたのと同時に、身体を起こした。

「しかし、あなたと朱夏の夫婦喧嘩も、想像すると恐ろしいですよ」

葵の言葉に、夕星は束の間きょとんとしたが、すぐに声を上げて笑い出した。

「そういやそうだな。じゃあせいぜい、怒られないよう気をつけよう」

「朱夏も、もうちょっとおしとやかにしないと、夕星殿に愛想尽かされるよ」

にこやかに言う葵に、朱夏は、ぶぅ、と膨れた。
葵が、ふと気づいたように口を開く。

「そういえば、朱夏は夕星殿のお相手はしないね。兵士たちじゃ敵わないし、朱夏がしたほうがいいんじゃないの?」

葵の言うとおり、兵士たちの中でも、朱夏の腕は相当強い。
葵でも敵わないし、前のように隊長に勝つこともある。
恐らく朱夏の腕は、指導教官である隊長に匹敵する強さだ。

夕星の腕は、隊長を上回る。
その辺の兵士よりも、朱夏のほうが、よっぽど相手になろう。
が、今まで朱夏は、夕星の相手は、したことがない。

「ん、でも・・・・・・」

いまだに朱夏は、まともに夕星を見られないでいる。
その服の乱れを直してくれないかなぁと思いつつ、ごにょごにょ言っていると、夕星がぽんぽんと朱夏の頭を叩いた。