楽園の炎

「憂杏には、打診している。お前も、よく考えろ。憂杏がお前の気持ちを本心から受け入れて、お前もやはりあいつを選ぶなら、俺は何も言わんよ。兄上や父上も、説得しよう。ま、皆基本的にお前を想っているから、そう反対はされないと思うがね」

相手を紹介するのが難しいだけで、と、小声で呟きながら、夕星は笑ってナスル姫の頭を撫でた。
ナスル姫は、ぼんやりとした感じで夕星を見ていたが、ふと身を乗り出した。

「え? 憂杏に打診? ・・・・・・お兄様、まさか、すでに憂杏に、わたくしの気持ちをバラしたの?」

だんだんと大きくなる声に、夕星が慌ててナスル姫の口を押さえる。
そういえば、神殿から夕星に向けて放たれた叫び声は、この小さな身体のどこからそんな大声が出るのかと思うほどの、大音量だった。

「落ち着け。お前の気持ちは、まぁ・・・・・・さわり程度に言っただけだ。何もお前と結婚してくれとは、言ってないよ。大体お前、自分でもうそれらしいこと、言ってたじゃないか。憂杏に、国から出して欲しいだなんて」

「あ、そ、そういえば、そんなこと、言ったかしらね。わたくしったら、熱に浮かされて、とんでもなくはしたないこと、口走ったのね」

赤くなって、己の頬を包むナスル姫は、誤魔化すように枕元の瓶を手に取った。
ちなみに、その前に憂杏が持ってきた万華鏡も、しっかりと近くの机の上に置いてある。

「・・・・・・こういうのをね、来るたびにくれるから、こっちも期待しちゃうのよ」

「そうですね。だってあたしには、くれないですもん」

朱夏の突っ込みに、ナスル姫はまた、ぽ、と赤くなる。

「気に入ってはいるみたいだしな。まぁ結果が出るまでは、意識せずに付き合うことだ」