楽園の炎

何枚か布を重ねられ、ほぼ初めて、朱夏は正式なリンズを身にまとった。
いつも動きやすいよう、足は剥き出しなので、随分軽くしてくれているにも関わらず、朱夏にとっては動きにくいことこの上ない。
しかし、ククルカンからの正式な訪問とあれば、仕方ない。

「王族・・・・・・。皇帝じゃないのね? どなたかしら。お名前をお聞きすれば、どなたかわかりそうだけど」

「でも、全員にアルファルド式の名前をつけたわけでは、ありませんよ。確か、何人かだけだったような」

アルファルド贔屓のククルカン王は、好きが高じて、自分の子供にもアルファルド式の名前をつけているらしい。
アルファルド式というのは、漢字表記ということだ。

「酔狂な人よね、ククルカン王って」

髪を結ってもらいながら、朱夏は森で男にもらった短剣を弄んだ。
手の中で向きを変えるたびに、違った光を放つ。

「あら、可愛い剣ですわね。おもちゃですか?」

アルが、朱夏の手元を覗き込んで言う。
朱夏は宝石箱の中を探り、合う鎖を選んでみた。

宝石箱といっても、そう大層なものが入っているわけではない。
元々あまり持っていないし、お気に入りのものを、何でも放り込んでいるので、本物の宝石も、その辺で見つけた木の実や、昔木を削って作ったいびつな人形も、ごちゃ混ぜになっている。