楽園の炎

ああっやっぱりっ! と、朱夏は心の中で叫んだ。
憂杏は、一番上の姉上と同じということになる。

でも、王家ではぐっと年上の、父親ほど離れた者に嫁がされることもあるのだから、妹が自分よりも年上の男と結ばれることぐらい、何とも思わないかもしれない。

とりあえず、ククルカン皇家の誰より年上でなくて良かった、と無理矢理思い直し、朱夏は曖昧に、なるほど、と相づちを打った。

「そなたは? まだお若いようだが。ナスルと同じぐらいかな?」

「十五になります」

「そうか。夕星とは、少し離れているな。でもまぁ奴は子供っぽいから、ちょうど良いかもな」

皇太子は笑って、お茶を飲んだ。
朱夏はじっと、皇太子を観察してみた。

「皇太子様は、何かわたくしに、ご相談がおありとか?」

見ているだけではわからんわ、と半ば諦め、自ら核心に踏み込んでみる。
皇太子はお茶を飲み干すと、カップを置いて、ふぅ、と息をついた。

「うん、まぁ。そうだな、何と聞けばいいのか。その・・・・・・ナスルと葵王殿のことは、知っておるかね?」

「お見合いのことですか? 聞き及んでおりますが」

うむ、と皇太子が頷く。

「元々ナスルも、我が父上から散々葵王殿のことを聞かされていて、興味を持ったのだよ。ナスルは、育ての母親には大事にされなかったが、その分父上が、猫可愛がりに可愛がっているから、話を聞く機会も多かったのだな」

「皇帝陛下の、ナスル姫への愛情の深さは、有名ですものね」

そうかもな、と皇太子は苦笑いを浮かべた。