楽園の炎

気になったが、何となくここで尋ねるのは憚られる。
朱夏はとりあえず、それとなくナスル姫の様子を気にかけながら、杯を手に取った。

「ところで夕星。お前、朱夏殿を今見初めたわけではあるまい。宝剣は、すでに朱夏殿に贈ったのか?」

上機嫌で杯を傾ける皇太子に、夕星は、あ、と声を上げた。

「そうそう。ちょっと問題が発生しまして。その宝剣なんですがね。・・・・・・なくしたんですよ」

にこにこと杯を傾けていた皇太子の顔が、瞬時に氷結した。
杯を傾ける手も、宙で止まっている。

「宝剣は初めになくしてしまったし、守り刀は朱夏に渡してしまった。捕まったときに申し開きをしなかったのは、朱夏のため、ククルカン皇家のためでもありますが、一つは身分を明かしたところで、証明するものがなかったからなんですよね」

やれやれ、というように、夕星は杯を傾ける。

「いくら俺が自分で身分を明かしたところで、あのように薄汚れた商人の言うことなど、誰が本気にしましょうか」

ねぇ? と同意を求めるように笑う夕星に、皇太子は、あらん限りの声を張り上げた。

「っっばっっかも~~~~ん!!!」