楽園の炎

不安そうに見上げる朱夏を、やっと放した夕星は、皆の前で葵に向き直った。

「葵王殿。国的には、私を処分できなくなりましたが、このままでは、あなたのお気持ちが収まりますまい」

夕星は、葵の気持ちを知っている。
あの夜、何があったのかも知った上で、がらりと口調を変えた。

「個人的に、不敬罪の罰を受けようじゃないか。お前の気持ちが本当なら、俺がお前を殴ったように、俺を殴ればいい」

にやりと笑って、ちょいちょいと頬を指す。
葵は少し驚いたように夕星を見ていたが、すっと表情を引き締めた。
夕星は、葵の、朱夏への気持ちを聞いているのだ。

「なるほど。確かにあなたの罪状は、不敬罪だけかもしれませんね。しかし、それもあなたの立場のほうが今は上なのですから、ここで僕があなたを殴るのは、それこそが不敬罪にあたるのでは?」

言いながらも、葵は握りしめた拳を、ぽんぽんと叩いている。