楽園の炎

「夕星・・・・・・?」

朱夏は初めて聞く、ユウの本名を呟いた。

「それは、もちろんでございます。こちらとしても、知らぬこととはいえ、皇帝陛下の皇子を、五日間も地下牢に入れたこと、お詫びせねばなりますまい。どうか、お許し願いたい」

アルファルド王が、いささか強張った表情で、皇太子に言った。
ユウ---夕星が宗主国の皇子だとわかった以上、例え先の裁判の罪状が本当だったとしても、アルファルド側には夕星を裁く権利はない。
実質衛星国であっても、本来の立場は、アルファルドはククルカンの属国なのだ。
ククルカン皇家は、アルファルド王家を含む、全国民の頂点である。

アルファルド王からすると、宗主国の皇子を投獄・処刑にしようとした責めを負うほうが、今や恐怖なのだ。

「こやつには、それぐらいされないと懲りないところがありますからな。こちらとしても、夕星が葵王殿に働いた不敬罪を、不問にしていただかねばならん」

アルファルド王の心配をよそに、皇太子は軽く言った。
ほっと胸を撫で下ろしつつも、アルファルド王は首を捻る。

「しかし、何故最後までご身分を明かされなかったのです? あのままでは、処刑されておりましたよ?」

アルファルド王の言葉に、夕星は薄く笑った。
その笑みに、皇太子がため息をつく。

「夕星は、死に急ぐ嫌いがあるのだ」

そう言って、どさりと椅子に腰掛ける。