楽園の炎

「そうか・・・・・・。良かった」

安心したように、ユウは朱夏の肩に手を置いたまま、息をついて項垂れた。

「でも、アルも桂枝も心配しちゃって。内宮だから、警備は厳しいし、なかなか抜け出せなくて。それで、二日も経っちゃって。ごめんね」

再び謝る朱夏に、ユウは顔を上げた。
笑みを浮かべると、朱夏の頭をわしわしと撫でる。

「気にすんなって。朱夏、ずっと元気ないし、そっちのほうが心配だよ」

ユウの微笑みに、朱夏は何故か泣きたくなる。
最近の朱夏の涙腺は、どうなってしまったのかと思うほど、緩みっぱなしだ。

「だって、こんなことになっちゃって・・・・・・。唯一の救いは、ユウを裁くのが葵じゃなく、ククルカンの皇太子だってことだけだもの」

「救い?」

訝しげに首を傾げるユウに、朱夏は頷いた。

「葵が裁いたら、多分・・・・・・死罪に持って行くだろうけど、皇太子殿下はあたしを知らないわけだし、変な執着もないでしょ。どんなかたかは知らないけど、あたしが、ユウは葵を討とうとしたわけではないって証言すれば、助けてくれるんじゃないかしら」

「どうかな。俺は多分、ククルカン皇太子殿下の勘気を被(こうむ)っている人間だろうしな」

さらりと言ったユウに、朱夏は目を剥いた。
とても恐ろしいことを、聞いたような気がする。