しかし、川瀬桜は存在している。 では情報が無いのは何故か。 「偽名を使っているのでは?」 山崎が言うが、土方は首を横に振る。 「いや、それはねぇだろう。」 「…なぜです?」 土方は、先ほどの桜を思い出す。 まっすぐな瞳で、自分の名を言った桜を。 あの瞳が、どうしても嘘をついているとは思えない。 あんなまっすぐな瞳を持った女を見たのは久しぶりだ。 「勘、だ。」 「……勘ですか。」 山崎は頷くしかなかった。