*結城*


また今日も……


4両目に乗ってしまった。


菅沼さんと、向き合う勇気がないっていうか


昨日の朝オレん所に来たヤツが言ったように


ハッキリ菅沼さんに断る決心が、まだつかない。


あー、こんなんじゃダメだな。


「結城くん、おはよ」


吊革持ってボーッと突っ立ってたら、うしろから誰かに声をかけられた。


見れば、同じクラスの女子。


「あぁ……お前か」


「ちょっとー!お前って何よ」


菅沼さんかって、一瞬思ったっつの。


「はは、悪い。いつもこの車両?」


「まさかぁ!今日は時間なくって、ここにしか乗れなくってー。

結城くんがいてよかった。だってこの車両って……」


ボソッと呟かれ、耳を疑った。