いつも結城くんが乗ってくる駅に着く。


本から視線を外せない。


結城くんを待ってました、ってんじゃなく、普通を装う。


……自然に、


自然に。


プシューッ。


って、音がして


人が乗り込んできた。


ドキドキ。


カツカツ……


こっちに来る足音が聞こえる。


……だけど、本に熱中してるのもおかしいよね。


よしっ!


パッと顔をあげ、


無理に笑顔を作った。


「……おはよう!!」