愛してるさえ、下手だった



到着してみると、そこにはちょうど俺が会いたかった人物がいた。
乱暴にドアをこじ開け、許可もなしにずかずかと中に入る。

「いつまでのろのろしてんのかと思ったら…。夜十、お前何してるわけ?」

「旭…」

そこにはおろおろした情けない顔をしている夜十がいた。
ベッドでは夜十のターゲットらしい人物が苦しそうに喘いでいる。

自分の状況とあまりにも同じで、笑えてしまう。
彼もまた俺と同じように、殺せと命令された人物を殺せずにいる。

けれども俺は、ベッドに横たわる彼女の表情を見て驚く。
全身を使って、生きたくないと叫んでいた。
早く殺してほしいと切実に願う、絶望に満ちた表情だった。


夜十は彼女の表情の真理に気づいているのだろうか。
いいや、きっと気づいていない。

俺はおもむろに彼女の首に手をかける。

息苦しいだろうに、彼女は満足そうに表情を緩めていた。
こんな風に、殺されることを望む人もいるのか。


「やめろ!」

夜十が俺の手を掴んでくる。
別に殺すつもりなんてねぇよ。

そう思いながらも残忍な人物を装った。