愛してるさえ、下手だった



「お前は、何者なんだ…」

男が楽しくてしかたがないといった表情でナイフをさらに近づける。

「俺か?俺は殺し屋だ」

どうせ殺すのなら教えても構わないと思ったのか、彼は案外簡単に自分の正体を告白した。
だったら、話は早い。

自分を守るため、俺が取るべき行動はたったひとつ。


「俺を、仲間に入れてくれ」



こうして俺は、777というコードネームをもらい受けた。

ひだまりの中から堕ちてきた世界は、黒く穢れていた。
自分の傷の深ささえ、忘れてしまうほどに荒んでいた。

だけど俺は、満希と出逢って変わったんだ。
有芽には言えなかった言葉を、彼女には捧げようと思ったんだ。

俺は、すべてから逃げてきたから。
薄情な自分を切り捨てたいんだ。


だからもう一度お前を置いていく俺を許してくれ、有芽。


――旭、愛してる。

お前のくれた感情は、決して忘れたりはしないから。