途中で隼人とはぐれたチノパンは、なんとかまいたかなと息を切らせてよたついた。

「お、俺。もうだめ」

 立ち止まって荒い息を整える。ブロック塀に手をついてがくりとうなだれた。

 思えば、彼は健のカツアゲには、なんら関与していない。あの時にいた連中が勝てなかったから、多少は腕に覚えのありそうなチノパンが呼ばれたに過ぎない。

 とはいえ、喧嘩になると解っていて呼び出しに応じたのだから、多少の怪我は仕方がない。その辺は自分でも割り切ってはいる。

 しかし、しかしだ!

 これはどういう訳なのか、まったく理解が出来ない。ここまで精神的にも肉体的にも追い詰められるようなことをした覚えはない。