「あいつには関わるな!」

「あ、おい!?」

 こけつまろびつ遠ざかる男に手を伸ばす。しかし、あまりもの態度にそれ以上追う気にはなれなかった。

 隼人と三人は顔を見合わせる。

「なんだっていうんだ」

 舌打ちして歩き出す隼人のあとを三人は不安げについていく。

「もういいんじゃね? なんか、ヤバい気がしてきた」

「ビビんなよ! たかがガキの一人に」

「そうは言うけどよ」

 言われて怒鳴ったが、隼人も少し何かが変だとは気づき始めていた。

 今までのような余裕がこちらにはまるでない。こんなことをしている間にも、匠というガキはのほほんとしているに違いない。

 しかし、認める訳にはいかない。

 ケンカを売る前にこっちからビビるなんてことは、あってはならないのだ(すでに健には喧嘩を売って負けていることは省く)。