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 ──隼人は去年、尾世ヶ瀬学園を卒業した友人に匠の事を尋ねてみた。男は黄色のジャージ姿で鬱陶しそうに隼人たちを軽く睨みつける。

 しかし、

「周防──匠!?」

 出てきた名前に顔を歪め、何か恐ろしいものでも見るように震えながら後ずさりした。

「おい?」

 男の見た事もない動揺振りに隼人は眉を寄せる。

「おまえ、そいつに何かやったのか」

「何か……って。おい、落ち着けよ」

 明らかな友人の動揺ぶりに隼人も不安になる。ダメ元で尋ねた周防の名前を知っていたことにも多少の驚きはあったがしかし、この狼狽ぶりはなんだ。

「近寄るな!」

 それはもう、これ以上は殴られそうだと思うほどの迫力で目を血走らせている。