「何年かなんて知らねぇよ! 男に決まってんだろ。名前で解れよ」

 随分と度胸の据わった奴だなとさらに強く睨みつけた。しかし、

「名前で性別は解りません。山ではメスの熊に男の名前を付けるでしょう。あれは山の神が嫉妬しないためです」

「熊の話はいいんだよ! とにかく連れてこいって!」

 なんでこう、淡々と返してきやがるんだよこいつ。

 男は少年の図太さに呆れながらも「こいつ馬鹿なんじゃないだろうか」と若干の恐怖を感じていた。

「だから、何年生なのかを教えていただけないと──」

 少年は困ったように眉を寄せて男を見つめた。