「さっ早和!?」

「あーあ、泣かしたー」


渉君と結希ちゃんがそろってニヤニヤしてる。


明がひとしきり焦った後、とんちんかんな発言をした。


「もしかして早和…図星?」


「そんな訳ないでしょ!そうじゃなくて、その…」


「何?」


「明、仕事だったんでしょ?あんまり遅いから、なにかあったんじゃないかって…その、心配…で」


恥ずかしさで最後は聞こえるかどうか不安になるくらいの小さな声になってしまった。




一瞬沈黙が流れた後、がばっと明が渉くんを振り返る。


「渉っ!お前、早和にしゃべったな!!」


「はぁっ!?俺じゃないよ!しゃべってない!」


「でも俺、お前以外に今日の仕事のこと言ってねーよ!」


「あ、あの、明…」



そうじゃないって言わなきゃ。

渉くん、濡れ衣着せられちゃってるよ。



再度声をかけようとした時、その場に大きな声が響いた。



「あんた達、やめなさいっ!」



耳がキ―ンとなる。



「ほらっ。早和、なんか言いたいことあったんでしょ?」


結希ちゃんがにこっと笑って私の背中をぽんっとたたいた。



「結希ちゃん、ありがと」

私もにこっと結希ちゃんに笑ってから男子二人の方を向いた。


「あのね、渉くんに聞いたんじゃなくて―――……」