「ち、ちょっと」 どもる自分が情けない。覆われた腕の中では関谷の顔は見えなくて、冷たいコートに触れているのに、胸の辺りが熱くなっていく。そんなの関谷はお構いなしで。 「っ関谷!」 「…うるせ」 「な、なにしてんの」 「……ムカつく」 「は?」 落ちた低い言葉は、何の感情も見えなくて、あたしは思わず顔を上げた。