しばらく翔と二人、イベント会場を見回っていたが、時刻はもう午後八時。

「翔、お腹すいた。」

「もうこんな時間か。予約していたレストランの時間には、少々早いけれど、そろそろ向かうか。二十分ぐらいだったら、予約時間を繰り上げてくれる事も言ってたしな。」

「やったあ、ステーキ、ステーキ
…ああ、すでにここまでお肉の匂いが届いてるような…」

「おいおい そろそろイブの雰囲気を重んじて、行動してくれよ?小さな子じゃないんだから。」

「十七歳は、まだ子供じゃん!」

「全く…」

そう言いながらイベント会場を後にしようとした時、私はフロントの片隅に、妙な物を発見した。

「わあ、なんか変わった自販機!」

「ああ、あれは確か『時代新聞』だよ。」

「『時代新聞』?」

「自分の生まれた年を打ち込んでお金を入れると、その年の新聞が出てくるんだ。
その当時流行っていた番組や番組表、ワイドショー、時事問題まで分かるんだ。」

「新聞屋がやっている、誕生日新聞と同じね。」