「うわっ!」

「きゃっ!」



-…突然の地震に驚いて、尻餅をついた私の前には、ドカッと言う鈍い音と共に、青銅の騎士の下敷きになって、頭から血を流してうめいているおじさんがいたわ。-

「うう…ま、ましろ、助けて…」

「ぎゃあーっ!」

物凄い金切り声を上げて、私はまたベッドの中に潜り込んだわ。そして、ばかになった鼻で、何度も何度も、匂い袋をかいだ。
…遠のく意識の中、聞こえもしない、そのおじさんの助けを呼ぶ声が、地獄の底から響きわたる、亡者の叫びの様に私の心を揺さぶり続けた。


…その後の事は、何も知らない、思い出せない。-