( @:独白SS )



ただ、好きだった…否、今現在も好き、なのかもしれない。だからこそあれから2年以上経つというのに、私はあいつを、こんなにも忘れられないのだ。

容姿も性格も、声だって。
私に向けられる全てが、まるで別物なのに。

ただ一つ、唯一の共通点である名前。もちろん漢字は違うけれど、その唯一に縋って私は今の孤独を埋めようとした。

その響きに、脳裏をちらつく記憶。呼ぶ度に、一瞬重なる姿…。

だけどその都度、別人であるという事実を痛いほどに突き付けられる。

忘れられない、忘れたくない、けれど忘れたいと、たくさんの矛盾を孕んだ胸は、幾度も声にはならない悲鳴をあげた。

それでも私が、響きだけ同じ別人を贔屓目で見てしまうのは、少しでも私を満たす為に彼を利用するのは。

…――やはり、私がまだあいつを好きだから。それ以外に理由はない。





  過去に囚われ、永久に執着


 ( 傷つくのは自分だと )
 ( それは解っていたけれど、)