( @: SS)



大っ嫌い
こんな世界が。

大っ嫌い
こんな人々が。

大っ嫌い
こんな自分が。


「…――死ぬの?」


私以外、誰もいないはずだった放課後の屋上。今にも飛び降りる寸前だった私は、不意に聞こえてきた声に、思わず足を止める。

そして仕方なく視線を向けた先、銀髪の見知らぬ男子生徒が眠そうに私を見下ろしていた。

だから、


「うん、死ぬよ。」


そう躊躇うことなく紡いだ言葉。
刹那、その男子生徒の瞳が微かに揺らいだ。切れ長な瞳が、探るように私を捉える。そして、


「ふぅん。じゃあ早く飛びなよ。
俺が最期、見届けてやるから。」


彼から紡がれた予想外の言葉に、思わずビクリと肩が揺れたのがわかった。

誰も私の死を止めてはくれない、そんなことわかってたはずなのに、絶望に似た気持ちが私を蝕む。動揺を隠しきれない私に彼は続けた。


「本当は死ぬ勇気なんて、ないんだろ。結局お前は、誰かに止めてほしいと願ってただけだ。」


虚勢も見栄も、自分の弱さを隠すため。見破られた真実に、きらめく銀髪に、私の脆弱な世界は崩壊した。            



  モノクローム


  ( あなたと出会って )
  ( 私の世界は色づいた )