「井上さん」 優しい口調のまま、やんわりとグッと力を入れていた手のひらを開かせる。 「自分の中のその好きだという気持ちを、閉じ込めては駄目」 「え…」 ならば一体どうすればいいのか。 閉じ込めなければ、萌も田原もこの恋心のせいで傷ついてしまう。 親友でなくなってしまう。 それだけではなく、話し掛けてくれないかもしれない。 (…もう、笑ってくれないかもしれない) ふたりの最後にみせてくれる顔が哀しい表情だなんて。 そんなのは嫌だ。