小さい頃から俺は愛を見てきた。
どんな小さな変化も一番に気付いた。

前髪を切った時も、リボンの色が変わった時も秋斗や冬夜より早く気付いた。


「まじ情けねぇ」

ポツリとはいた言葉は車の音にかき消される。


会いたい、会いたいんだ。
ホントは好きだって言ってやりたい。
この腕で抱き締めたい。


俺は昔から愛だけが好きだったんだ。
愛がいれば何も要らない。


「…雨」

俺の心を表してるかのように雨がポツポツと降ってきた。

あいつ、傘持ってんのかな。
寒くねぇかな。