書店の2階は、いつも客が少なかった。

そこで参考書や問題集、あるいは興味のあるコンピュータ関連の書籍を手にしながら、時々瑞希の様子を伺うのを達也は気に入っていた。

瑞希が棚の整理や在庫調べなんかで達也の近くへ来た時、書籍について瑞希に意見を聞いたりするのも好きだった。


そんな静かで、ゆったりした時の流れを、瑞希もまた楽しんでいた。

初めの頃、達也が売場に来ると瑞希は緊張した。

達也は馴れ馴れしく話し掛けてきたりはしないのだが、達也の視線が気になり、どうしても意識してしまっていた。

しかし次第にそれも慣れて来て、今ではむしろ達也がいた方が気持ちが落ち着くようになった。達也に、見守られているような気がして…