マンションを出て、タイミングよく到着した空港行きのバス。 そのバスが動き出すまで、正確に言えば空港に到着するまで。 涼ちゃんが追いかけてくるんじゃないか、と、心のどこかで期待していた。 けれど……――。 来須ミクとの交際が事実だと告白した涼ちゃんは、私を追っては来なかった。 空港で帰りの便の変更をしている時も、飛行機に乗り込む直前まで。 『千亜紀!』 私を引き止める涼ちゃんの声は、最後まで聞くことはなかった。