涼ちゃんの背後に広がる、窓の外の景色。
冷たい言葉を投げかける涼ちゃんを直視する勇気がなくて、私は視線を僅かにずらす。
どんよりとした空から大粒の雨が降り注ぐ。
それは、思い切り泣くことができずにいる私の気持ちを代弁しているかのようにも思えた。
「――……分かった」
手の届かない世界に足を踏み入れた涼ちゃん。
何があっても変わらないと信じていた。
けれど、環境は人を変えてしまうこともあるんだ。
涼ちゃんの表情は僅かに揺らぐこともなく、涙をはらはらと零すことしかできない私を、変わらず冷たい目で見ていた。
私は一口飲んだだけのエスプレッソ・ラテが入っているカップを、テーブルに静かに置くと、荷物を乱暴に掴み、逃げるようにして涼ちゃんのマンションを出て行った。


