――そして、その日は何事もなく、仕事は終わった。



あ、そういえば…もうすぐあたしの誕生日だな。



あたしの誕生日は6月17日。
今は4月。



そんなに早くもないか。
でも。



戸田さんとの結婚が近付いてきていることも…事実。



「――よしっ、着いたぞ」



今、あたしは戸田さんの車の中。


顔を上げると、見慣れた大きなマンション。



あたし達は車から降りると、部屋に向かった。



エレベーターを降り、戸田さんの部屋まで歩く。



戸田さんに、SPのことを話さなきゃいけない。



なんだか異常に緊張する。



どうしたんだろ、あたし…



「どうぞ」



部屋に着くと戸田さんが鍵を開け、部屋の中へ促した。



「ありがとっ♪」



あたしは明るく言うと、部屋に入った。



「あ〜さみぃな。今暖房つけるから座ってて」



「うん、ありがとー」



あたしは目の前にあったソファに座った。



「ふぅ〜…」



あたしは一息ついた。



……戸田さん、受け入れてくれなかったらどうしよう。



もし…



別れようなんて、言われたら…



あーもう!!
考えすぎだよ、あたし!!



戸田さんはそんな人じゃないし!!


「水樹?」



名前を呼ばれて、ハッとする。