あたしは渋々鞄から鍵を出し、桐島ちゃんに渡した。



桐島ちゃんは鍵を受け取ると、あたしの車のロックを解除した。



「ごめんね、桐島ちゃん…」



あたしは運転席に乗った桐島ちゃんを見て言った。



「さっきも言ったろ、気にすんな」


桐島ちゃんはあたしを見て笑った。



そして車を発進させる。



ていうか…
自分の車じゃないのに凄いな…
テキパキ動かせちゃうなんて。



「運転くらい、あたしがやったのに…」



「今のお前に運転させたら、いかにも事故でも起こしそうだろーが(笑)」



「あっ!!ひどーい!!」



あたしは突っ込みを入れた。



しばらく走って、あたしの住むマンションに着いた。



「送ってくれてありがとね、桐島ちゃん。」



「どういたしまして。おやすみ」



桐島ちゃんはあたしにヒラヒラと手を振ると、歩き出した。



あっ!!
そーいや桐島ちゃん、車じゃなかった!!



あたしの車で来ちゃったから、帰れない!?



「桐島ちゃんっ!!どうやって帰るの!?車貸そうか?」



すると桐島ちゃんは笑い出した。


「大丈夫大丈夫。街出てタクシー拾うから」



「えっ、じゃあタクシー代だけでも…」



「いい。早く部屋戻れ。おやすみ」


桐島ちゃんは微笑むと、あたしに背中を向けた。



「おやすみっ!!桐島ちゃん!!」



あたしは去っていく桐島ちゃんの背中に向かって言った。