「水樹、とにかく今日は家に帰ろう。ゆっくり休め」
桐島ちゃんは心配そうにあたしの肩を抱く。
「……疲れてない」
「んなわけねぇだろ」
「そんなわけあるよ。あたしはあれくらいの戦いでバテたりしないんだから!!」
あたしは強がって見せた。
戸田さんが危険な状態にいるのに、あたしだけ休めるわけないじゃん。
いくらあたしでも、そこまではバカじゃないよ。
「体壊したら元も子もないだろ。戸田さんが目ぇ覚ました時、どうすんだよ」
桐島ちゃんは呆れたように言った。
確かに…
桐島ちゃんの言う通りだ。
桐島ちゃんはいつもいつも冷静すぎて…
正直、羨ましい。
「……とにかくあたしは大丈夫だから。ありがとね、心配してくれて。桐島ちゃんは帰って…」
「行くぞ」
「えっ!?」
桐島ちゃんはあたしの腕を引っ張り、歩き出した。
「ちょっ!!離してよっ!!桐島ちゃん!?」
「いいから黙って着いてこい」
桐島ちゃんはキッパリ言い張ると、更に腕を掴む力を強めた。
うっそ…
びくともしない。
さすがは男だな、桐島ちゃん。
病院から出ると、桐島ちゃんは駐車場に向かった。
そして駐車場に着くと、あたしを見た。
「とにかく今日は帰れ。俺が運転してやるから」
「えっ…でも…」
「ほら、早く。鍵渡せよ」
桐島ちゃんは急かすように手を差し伸べてきた。