静まり返った校内。
あたし達は壁伝いに足を進める。
いつ犯人に遭遇してもおかしくない状況。
体を緊張させ、慎重に歩く。
「――おらぁっ!!さっさとしやがれ!!殺されてぇのか!?」
体育館から男の野太い怒鳴り声が聞こえた。
何をしてるんだろう…
銃を構えながら、体育館に近付く。
――するとそこには、今にも強姦されそうになっている女子高生がいた。
回りには20〜30人くらいの高校生。
「いやぁっ!!離してぇっ!!」
女の子は泣きながら男に訴えている。
マズイ…
あのまま暴れたりしたら…
撃たれる可能性が高くなる。
ただでさえ、犯人は苛立っているハズなのに。
「先にあの女子高生を保護しよう!!あのまま暴れてたら撃たれるよ」
あたしは桐島ちゃんに言う。
「あぁ、そうだな。あの子から保護しよう」
「まずは犯人を取り押さえなきゃよ」
美姫が銃の引き金を引いた。
「優輝、射殺許可は?出てるかしら」
「まだ決まってないな。最悪の場合だけだろ」
桐島ちゃんがそう言うと、美姫は小型マイクに向かって話し出す。
「――こちら櫻井。犯人は女子高生を強姦しようとしている模様。射殺許可をもらえますか?」
『分かった。ただし、なるべく殺さないようにしろ。奴等に吐いてもらうことは山ほどある』
「了解」
美姫は本部との連絡を終えた。
「射殺許可が降りたわ。なるべく殺らないようにとのことだけど」
「んじゃ行こっか!!あの子危ないし」
あたしはみんなに言う。
「よし、行くぞ」
司令官が低く囁いた。