俺はその日夜勤で、オフィスに残っていた。



たまに来る水樹からのメールの返信をしながら。



なんかさっきから廊下が騒がしいみたいだけど……



他の警官が残ってるんだろう。



俺はそう思い、仕事を続けた。



――ガチャッ



ドアが開いたのでそちらを見てみた。



「お、倉橋。お疲れさん!!」



「戸田先輩……お疲れ様です」



そこには倉橋の姿があった。
倉橋は俺に小さく頭を下げると、自分のデスクから鞄を取った。



俺は前から倉橋に話さなくてはいけないことを思い出していた。



……話すなら、今しかない。



「なぁ倉橋、ちょっといいかー?」


俺は倉橋に声を掛けた。



「……何ですか?」



相変わらず冷たい瞳で人を見る倉橋。



「……あのさ…お前もう少し、隊員のみんなに心開けないのか?」


俺は唐突に問い掛ける。



「……は…?」



倉橋はどうやら言葉の意味が理解出来ていないみたいだった。



「どういう意味ですか?」



「俺から見た感じ、お前は隊員のみんなを仲間だなんて思ってないよな?」



俺の言葉に今まで冷静だった倉橋の表情が曇った。



「図星か?」



「……別に…」



倉橋は俺から目を逸らそうとする。



「答えろよ、倉橋。」