「……その犯人は…捕まったの?」


あたしは恐る恐る聞いてみた。



「……3人の内、2人は捕まったんだ。…けど……倉橋の父親を殺した張本人は未だに逃亡中だ」



瑠樹也のお父さんを殺した張本人は……



まだ逃亡中……?



「だから倉橋は特殊部隊になったのもあるかもしれないな。自分の父親を殺した張本人を自分の手で逮捕する為に」



「……………」



「たぶん…成瀬さん達は、水樹に心配掛けたくなかったんだと思うよ?」



戸田さんは黙っているあたしに優しく言った。



「……心配…?」



「あぁ。水樹は優しい子だから、倉橋のこと聞いたら絶対に心配するだろうと思ったんだよ。ただでさえ色々ある水樹に負担かけたくなかったんだよ」



「…そう……かな…」



「あぁ。きっとそうさ」



戸田さんはポン、とあたしの肩を叩いた。



「…そうだよねっ!!ありがと戸田さん!!元気出たっ♪」



あたしは満面の笑みを戸田さんに向けた。



「やっと水樹の笑顔が見れた」



戸田さんは嬉しそうにそう言うと、あたしの唇に自分の唇を優しく重ねた。



触れるだけのキスを終えると、お互いに見つめ合い、笑い合った。