「社長!お電話です。

今日、梓が出る、

生番組のプロデューサーの方みたいです。」






スタッフの一人が、

電話の子機(スタジオのらしい)を、手に言った。







社長は、

いかにも”迷惑だ!”と顔をしかめて、受け取った。







「なんだなんだ?

打ち合わせは、もう昨日で終わったはずだろう?




…代わりました

…はい

……えぇ

…………。






ぇえっ!!

なんだって?!」





突然、子機を持ったまま、立ち上がった。








何事?!








私も梓も、その場にいたスタッフ関係者も

静まり返って、社長に視線を送った。


社長は、その後何秒か止まり、

何度か返事をすると“ピッ“と通話を切った。





多分、30秒位、静かな間があったと思う。






その間を破ったのは、梓だった。






「社長?

どうかしたんですか?

なんか問題でもあったんですか?」





すると、社長は近くの椅子に腰掛けて言った。
 





「あぁ。

梓。

…大変な事件が発生した。





今日、生放送のライブ、


お前のピアノ伴奏者が、

昨日夜逃げして、行方不明らしい。」









…。