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「この菓子、今流行ってんだってよー」

「そういえば、おまさもわざわざ並んで買ったとか言ってたな」

「沖田さーん、そんなに食べちゃ夜の食事入らないですよー」

「矢央ちゃんって、最近、総司のお母さんみたいなとこあるよな?」

「……クシュンッ!」



寒い中、縁側に並んで座る矢央達は話題こそ好き勝手言うが、心の内では皆一人のことを考えている。


庭を挟んで反対側にある山南の部屋は、三日前から閉まったままだった。



「山南さん、早く元気にならないかなぁ…」


皆が思っていても口にしないことを、矢央は口にした。

元気になったら解決する、そんな簡単なことじゃないと分かっているから男達は言葉にせず見守るだけ。


「あの人は、昔から考え事を始めると結論が出るまでに時間がかかる」

「あ、斎藤さんも一ついかがです?」


ふと現れた斎藤に、大福を勧める沖田。

口の回りに白い粉をつけてニヘラと砕けた笑顔で見上げてくる沖田から大福を受けとると、斎藤は隣にいた矢央にズレるように指示し空いた隙間に腰を納める。


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