どれくらいの時間が過ぎたのだろうかと、土方は感覚の無くなった掌を見つめた。


微妙な天候。 雲の隙間から真っ赤な夕陽がチラリと顔を見せ、岩に座り込む土方に哀愁を漂わせている。



『新撰組に、なまくら刀は必要ねぇんだよ』



(……なんて顔してんだよ)



言うつもりはなかった言葉だったのに、山南の引きつった顔を見ると言わずにいられなかった。

唯立ち直ってほしくて、上手く言えない言葉を必死に絞りだしたというのに―――…



(結果、追い詰めてたら意味ねぇだろッッ)



ガシガシと髪を掻き回したせいで、結われていた髪がぐしゃぐしゃになる。

特別気にもせず、はあと溜め息ついて空を見上げた。


ポツ、ポツ


雪が雨に変わった。

嫌な予感がして、舌打ちをする。



本当に伝えたかった言葉は他にあったが、山南はそれを聞く前に走り去ってしまった。


刀を、土方に投げつけて。



「あんたの腕は認めてんだからよ―……」



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