ふと視線を感じた沖田は、隣を見てニコッと微笑む。


「少し昔話でもしましょうか」


と、前置きした沖田は腰を上げると子供たちを集めた。


冬は日が暮れるのが早い。だから今日はお開きにして、家におかえりと子供たちの頭を撫でる沖田は、どう見ても人斬りと恐れられる人間とは思えない。


と、言っても最近は病に伏せることもあって、あまり巡察に出ることはなくなったが。



「沖田さんって、ほんと子供に好かれてますね」


まだ遊びたいとただをこねる子供たちを上手く言いくるめ、ようやく戻って来た沖田。


またねー! と、叫ぶ子供達に二人で手を振って見送った。



「あの子達と最初に遊んであげていたのは山南さんなんですよ。 そこへ混ぜてもらっているんです、私はね」


そう言われてみれば、まだ芹沢が生きていた頃、何度か芹沢の散歩に付き合い壬生寺に来たことがある。

その時には、山南も子供達と一緒に遊んでいた。



「人の面倒を見るのが好きな人なんです。 誰もが嫌がることでも引き受けずにはいられない、そんな損な性格なんですよ」


もう一度、矢央の隣に腰を下ろした沖田。

彼の言葉を聞いて、あることに気付いた矢央は、立てた人差し指を沖田に向けた。



.