矢央へ

この文がお前へ渡るかどうか正直不安だが、届くことを願って此処に俺の想いを書き留めようと思う。


お前がいなくなって、間島矢央という女は本当に存在していたのか不安になった。
お前の姿を何度も探したが、当たり前だ。
いるはずがないんだ。


お前が言っていた通り、元々存在するはずのない間島矢央という存在を忘れるべきなんだと心ではわかっている。

わかっていたが、この文を書いてる今も結局お前を忘れることなんて出来なかった。



お前のおかげで俺はこの年になるまで生きることができ、お前に聞かされていた文明の進化にも触れることができて良かったと思っている。


少しでも長く生きて、お前の生きている時代に少しでも近づけたらと思って生きてきたんだが、どうやら俺もそろそろ迎えがくるようだ。



矢央、お前は今幸せに暮らせているか。


戻ってから泣いてはいないか。



そればかりが気掛かりだ。


どうか幸せに生きていてほしいと願う。




いつかまた、そうだな。
お前がお華の生まれ変わりとして、俺達に会いに来てくれたように、もしも俺がお前の生きる時代に生まれ変わることができたら、




矢央、その時は今度こそなににも邪魔されずお前と共に生きたいと願う。







永倉新八