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「今年は我々にとって良き年となった。 来年は――…」
「だあっ! 堅ッッ苦しい話は今日は無しにしようぜ? 近藤さん」
今年最後の日、土方が呼び掛けた昔から共にいる"古株"だけが広間へと集まった。
その中には未だに良き関係を取り戻せていない近藤や永倉、土方と山南も含まれている。
今日だけは所謂、無礼講ということだろう。
近藤が挨拶をしようとすると、空気が悪くなるのを避けようと原田が近藤の挨拶を遮り 「乾杯!」 と酒を天に高々と上げた。
近藤は何か言いたげに眉を寄せはしたが、既に盛り上がり始めた一同を見て微笑し腰を沈める。
「近藤さん、今日だけは気楽にいこうぜ」
「ああ、そうだな」
土方に酒を注がれ、近藤はお猪口一杯に入った酒を暫し眺めてから一気に煽ると小さく息を吐いた。
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