「そうか。近藤さんとお華が迎えに来たのか。だったら総司も迷うことなく逝けただろ」


土方はいつも突然訪れる。



「はい。とても穏やかな顔をしてました」

「そうか…総司が世話になったな」


新選組を斉藤に託した土方は、島田を含めた数名の隊士のみを連れて幕府軍と合流をしていた。


土方は新選組副長ということで軍参謀になり別働隊を率いて戦に挑んだ。

壮絶な戦いは幕府軍に微笑み、苦戦した新政府軍は城に火を放ち撤退。


土方らは火が消えるの待って宇都宮城へ入り、それに続き幕府軍本隊も入城。


たった半日で僅かな兵しかいないなか城を落とした土方は、軍略家として名を上げたのである。


しかし新政府軍は諦めてなどいなかったので、宇都宮城を奪還すべく、次々と宇都宮城へと攻めていった。

新政府軍をおしていた幕府軍だったが、新政府軍に援軍が合流すると形勢逆転する。


土方は松が峰門を守っていたが、そこで足に銃弾を受け負傷、戦線離脱となった。


そのあと宇都宮城は新政府軍に奪還され、残された兵は会津へと退却していったのだった。



それは近藤が板橋で処刑される二日程前のことである。