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「ああっ!土方さんっ!?」
「…幽霊でも見たみたいな顔すんじゃねえよ」
沖田に薬を飲ませ、湯呑みを下げようと立ち上がりかけた体勢のまま庭を見て固まった。
少しやつれた土方が頭をガシガシと掻きながら縁側に腰掛ける。
「足ありますか?」
「あるから来てんだ馬鹿。それより総司、調子はどうだ?」
我に返った矢央に支えてもらいながら上体を起こした沖田を見て、また痩せたなと顔をしかめた。
「…悪くはないですよ。なんせ可愛い人が毎日世話をやいてくれるのでね」
「へえ。こいつにまともな世話が出来るとは思えねえがな」
「失礼ですね。ちゃんとしてますよ!」
相変わらず矢央の顔を見れば意地悪しか言わない土方に唇を尖らせながら、それでも嬉しい客人なので「お茶いれてきます」と部屋を出て行った。
足音が遠ざかるのを待っていたかのように沖田は尋ねる。
「近藤さんはお元気ですか」
ひらひらと太陽の下で風に靡く洗濯物。
壬生にいたことろ自身の部屋からも見えていた光景を思い出し懐かしむ。
最近やたらと過去を思い出しては苦笑いするのを繰り返していた。
俺も年を取ったのかもな……。
「……ああ、ちぃったあ大人しくしてほしいくらいだぜ」
嘘を吐いたことに罪悪感を感じながら沖田を見やれば、沖田は安心したのかヘラッと表情を崩し「そうですか、そうですか」と、それは本当に嬉しそうに微笑んだ。
言えるわけがない。
病気と戦っている沖田に、近藤が投降したなんて。