元治元年(1864)も、もう終わろうとしていた。

寝て起きれば、新しい年が明けているのだ。


そんな貴重な夜を、今年は新選組の仲間と過ごすことが出来る喜びに浸る者がいた。



「矢央ちゃん、なにニヤニヤしてんのさ?」

「え? ニヤニヤなんてしてないよぉ…えへへっ!」

「……ふぅん」


今日一日は仕事はしたくない!と言いはった藤堂は、久しぶりに矢央との時間を堪能するつもりでいる。

伊東を呼んだのは自分なのだが、それ故に忙しい。


京に来た当初は、毎日やることがなく稽古をしたり散歩をしたりで、暇な時間があったことが懐かしいくらいだ。


閉めきった部屋の中を火鉢でぬくぬくに暖め、畳の上で猫のように丸まる矢央を見て思わず笑いが込み上げる。


あ〜安らぐなぁ。


「ねぇねぇ平助さん。 今日はね、土方さんがみんなを広間に集めてくれって言ってたんだよ!」

ムクッと上半身だけ起き上がらせ、肘杖をし掌に顎を乗せると藤堂を見上げた。

満面の笑みを浮かべる矢央に、藤堂は内心首を傾げる。


「…それって会合じゃないの?」

「違うんです! だって土方さん"古株"だけを集めてくれって言ってたもん」


藤堂は目を見開いた。

土方の言う"古株"とは、つまり――――


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